続消えた日本語辞典  


ISBN:4490103824
【タイトル】  続消えた日本語辞典 はてな年間読書クラブ−No.015
【著者】    奥山益朗
【出版社】   東京堂出版
【発行年月日】 1995年4月10日
【版型 頁数】 四六版 277頁
【版 刷】   初版
【ISBN】    4490103824
【価格】    2345円
【コメント】
先に紹介した同じ著者による『消えた日本語』の続編、前著は明治以後に生まれ昭和初期に消えた言葉が主体だったが、本書は15年戦争の時代に使われ、戦後昭和30年代に消えた言葉を集めた辞典である。従って戦前、戦中、戦後という短い期間にはかなくも消えていった言葉たちということになる。ただし戦争がらみの言葉が多いので、我々の世代が戦争の時代を知るためには重要な言葉であろうと思われる。

教養のためのブックガイド


教養のためのブックガイド         
【タイトル】  教養のためのブックガイド はてな年間100冊読書クラブ−No.013
【著者】    小林康夫 他 編
【出版社】   東京大学出版会
【発行年月日】 2005年3月28日
【版型 頁数】 A5版 235頁
【版 刷】   初版1刷
【ISBN】    4130033239
【価格】    1680円
【コメント】
本書は東京大学教養学部の教官らが、主として新入生向けに編んだ推薦図書のブックガイドである。出版当時『教養のための・・・』というタイトルに付いての賛否両論があったことで大きな話題となった。また編者らが過去に編纂した『知の技法』ISBN:4130033050生向けの“学ぶためのテクニック”についての本が、評判良かったために今回も注目を集めた。著者は何れも東大ゆかりの人たちである。蓮見大先生もちゃんと加わっている。
一般読者がこの本を読む目的はいくつかあると考えられる。一つ目は素直に東大の先生方が考える各分野の“スタンダード”或いは“指定図書”を知るためである。これだけ多くの書物がある中で、確かな基礎を学ぶための本選びは誰もが頭を悩ます問題だろうと思う。その辺はその分野の先生、できれば権威といわれる大先生方の意見を参考にするというのは最も効率的で手堅い方法である。編者らの本書編纂の主たる意図もそこにある。私の場合で言うと、科学モノのほかに日本史や古典文学、思想史などを意識した読書を進めようとしているが、こういった分野で今必要な基本書を知るためというのが第一の目的である。
第二の目的は逆の意味である。“日本の知性”を代表する人たちが多いと言われる集団で今何が重要と考えられているかを知り、ほんとにそうなのかということを考えてみることである。いわば本書を批判することで『教養とは何ぞや』を考え、あるべき姿を見出すためと言えようか。これはなかなかに難しいことであるが・・・・・・。
どうやら各著者らの見解の多くは、現代では学問の多様化・細分化の故、それぞれの個人に求められる基礎的学習も多様化し、これだと言う一般論が無くなってしまい、古典的な意味での“教養”と言う概念は既に破綻したという認識のようである。世間一般で言われているような事と同じである。さてそれで何にも無しでいいのかと言うと、良くないと思われる。本書では各分野ごとの執筆というスタイルで編集されているので、“各分野にとっての教養”という位置付けで教養が語られる。これはうまいこと逃げたなと思う。これなら例えば国文学を学ぶための教養とか、細胞生物学を修めるための教養ということになってしまう。というわけで本来の教養とは違うレベルでの教養を語ることで問題の本質をかわしてしまったという印象である。
本来の教養とは、例えば『人間性豊かで社会的・自然環境的な調和を常に意識して生きる人間』という規範・基準というか全ての人が共有できる考え方を見出すための学問的基礎ということになるのだろうか?(自分でも混乱しそうな文章だ)専攻分野、文系・理系、仕事の種類、家庭環境、国籍など関係なく、全人類で合意・共有できる考え方(そんなものは果たしてあるのか疑問だという意見があるだろうが・・・)の基になる学問、結局『共に生きるための哲学』というものになるのだろうと思う。
なんだか自分の意見が旨くまとめられないのでこの辺でやめよう。また機会があれば考えてみたい。
【目次】
はしがき 編者 ・・・ 鄯
第一章 いま教養とは? ・・・ 1
 1 存在の深さ、文化の厚み 小林康夫 3 / 2 「人間」と「チンパンジー」の
 あいだで 長谷川寿一 ・・・ 13 / 3 壁の向こうの教養書 高田康成/
 中嶋隆博 ・・・ 33 
第二章 座談会“教養と本” 佐藤勝彦/浅島誠/木畑洋一/山本泰/小林康夫
 ・・・ 69
第三章 さまざまな教養 ・・・ 121
 1 古典の力 和漢洋印回の魅力 山内昌之 ・・・ 123 / 2 自然科学の新しい
 「常識」 石浦章一/兵頭俊夫 ・・・ 145 / 3 留学生に進める本 ジョン・
 ボチャラリ ・・・ 167 
第四章 教養の彼方 ・・・ 185
 1 読む快楽と技術 野崎歓 ・・・ 187 / 2 読んではいけない本15冊 
 石井洋二郎 ・・・ 205
あとがき 山本泰 ・・・ 219
コラム“私の薦める本”
 教養がなくなってごめんなさい 野矢茂樹 ・・・ 12/フィクションとしての現実   
 蓮見重彦 ・・・ 31/たゆまない精神の運動 エリス俊子 ・・・ 32/ル・コルビュジェの思考と
 実験 加藤道夫 ・・・ 68/分野を分ける前に 金子邦彦 ・・・ 120/ギャグと駄洒落の楽しみ 
 小森陽一 ・・・ 148/紛争と人々 遠藤貢 ・・・ 144/「自省の能」 岡本和夫 ・・・ 165/歩く
 ように読むこと ショーペンハウアーの教え 北川東子 ・・・ 166/テレームの僧院へようこそ
 石田英敬 ・・・ 183/科学的に考えるために 黒田玲子 ・・・ 184/温かな心と冷静な頭脳 
 深川由紀子 ・・・ 202/アジアを知る 吉田元夫 ・・・ 217/コラム「私の薦める本」リスト ・・・ 224  
駒場(東京大学教養学部)発、東京大学出版会刊行書リスト ・・・ 228
執筆書紹介 ・・・ 232
著者名索引 ・・・ 7
書名索引 ・・・ 1

消えた日本語辞典


消えた日本語辞典
【タイトル】  消えた日本語辞典 はてな年間読書クラブ−No.014
【著者】    奥山益朗
【出版社】   東京堂出版
【発行年月日】 1993年5月30日
【版型 頁数】 四六版 285頁
【版 刷】   第6版
【ISBN】    4490103425
【価格】    2625円
【コメント】
昭和期に入ってからも日本語、言葉が大きく変化したし、単語自体が使われなくなったということも多い。本書はそういったそれほど古くは無いが今は殆ど使われなくなった言葉を集めた”読む”辞典である。それぞれの時代を知るためにその時代に使われていた言葉を知っておく必要がある。現在昭和史関連の書物を読んでいるが、知らない言葉を調べるために購入した。実はこういう言葉は権威ある辞典には採用されない場合が多いので、簡単に調べることができなくて困っていた。広辞苑の初版などを持っていれば役に立つかもしれないが・・・。
著者は朝日新聞社にて出版校閲部長、共立女子短期大学講師を経て朝日新聞社社友。朝日新聞社時代から使われなくなった言葉、「死語」を集めだし、溜まったものを編集したものが本書である。明治初期から昭和の時代までに「消えた」日本語の辞典である。
それにしてもこの本の版元である東京堂出版という会社はユニークな出版社である。なんでもかんでも辞典・事典にしてしまう。出版目録を見たら200種類ぐらいはありそうで、それが面白そうなものばかりで、あれもこれもほしくなってしまう。日本史の史料集で鎌倉遺文という古文書シリーズが有名だが、むしろこの辞書マニア向けの品揃えの方が私にとって有用である。へんてこりんなものも沢山あるのでまたいろいろ買ってみたいと思っている。