戦時期日本の精神史 1931〜1945年 はてな年間100冊読書クラブ−007


戦時期日本の精神史―1931‐1945年 (岩波現代文庫) 戦後日本の大衆文化史―1945‐1980年 (岩波現代文庫)
【タイトル】  戦時期日本の精神史
        戦後思想の名著50−第38巻
【著者】    鶴見俊輔
【出版社】   岩波書店岩波現代文庫 学術50)
【発行年月日】 2001年4月16日
【版型 頁数】 文庫版 296頁
【版 刷】   初版4刷
【ISBN】    4006000502
【価格】    1155円
【コメント】
先に紹介した同じ著者による『戦後日本の大衆文化史』・岩波書店(岩波現代文庫)と同じく、1980年、カナダ、マッギル大学で行った講義ノートを基に起こした日本論、日本思想史前篇である。
著者は日本を代表する思想家、哲学者で、学術活動のみならず、べ平連など市民運動にも熱心である。その著作も多方面・多彩で、大部の著作集・全17巻が筑摩書房から出ている。
鶴見俊輔というとまず思い浮かぶのが『転向の研究』、『思想の科学』、『ベトナムに平和を、市民連合』であろう。本書でも『転向について』、『非転向の形』が収録されているが、ソフトな語り口でそのエッセンスが語られ、わかりやすい記述となっている。全体としてもこの話し言葉での統一は読者にわかりやすい表現であり、丁寧な作りであると思える。
この著者の著作は膨大で、その遍歴というか活動の歴史を知ろうとすると、大変に時間をかけないとその全容が理解できないだろうと思うが、大変に重要な論客であると思うのでこれからも継続して読んでいこうと思っている。
【目次】
一九三一年から四五年にかけての日本への接近 ・・・ 1 / 転向について ・・・ 12 /
鎖国 ・・・ 33 / 国体について ・・・ 53 / 大アジア ・・・ 74 / 非転向の
形 ・・・ 95 / 日本の中の朝鮮 ・・・ 121 / 非スターリン化をめざして ・・・ 143
玉砕の思想 ・・・ 173 / 戦時下の日常生活 ・・・ 197 / 原爆の犠牲者として ・・・ 220 /戦争の終わり ・・・ 241 / ふりかえって ・・・ 265 / あとがき ・・・ 287
解説 加藤典洋 ・・・ 289