季語集


季語集 (岩波新書)
【タイトル】  季語集               はてな年間100冊読書クラブ
【著者】    坪内稔典
【出版社】   岩波書店岩波新書1006)
【発行年月日】 2006年4月20日
【版型 頁数】 新書版 305頁
【版 刷】   初版1刷
【ISBN】    4004310067
【価格】    903円
【コメント】
著者は佛教大学文学部教授、俳句グループ「船団の会」代表。本書は、時代と共に変わりゆく“季語”に「バレンタインデー」、「春一番」、「あんパン」など新しい季語を追加し、合計300余りを解説した読む歳時記である。エッセイ風の短い記述なのでどこからでも読めるし、極めて実用的な本。ハンディな季語ハンドブックとして重宝することになるだろうと思う。なお例句には現代のものが多く1部が近代以降の作品か?基本季語五〇〇選 (講談社学術文庫)
季語集、季語解説、歳時記の類は数多く出版されているが、手元にあって以前に読んで印象に残るのは、山本健吉・『基本季語500選』・講談社学術文庫と『四季花ごよみ全5巻』・講談社ISBN:4069989056。前者は古典的な俳句から厳選・抽出したまさしく“基本中の基本”の用例・解説集であり名著として名高い。私が購入したあと、長らく品切れだったが最近再版されたようだ。後者は分厚い5冊本で、かなりの出費を要したが、特に『植物・花・季節、大自然』をテーマにして解説したもの。いずれもお薦めの書である。
後者にはまた、植物の説明も詳しく記載されており、一般向けの“植物図鑑”、“大自然とそこに生きる生物の写真集”としても秀逸である。全頁に渡って挿入されたカラー写真が美しい。実は日本で出版されている植物図鑑というものは美しいカラー写真の付いたものが少なく、ほとんどがイラスト画、それも生物学的意味合いから植物個体、その形態・構造を“精巧に・正確に写実する”事を目的にしたものばかりである。大多数の植物図鑑に見られるこれらの傾向は、牧野富太郎以来、日本植物学界の伝統なのだろうと思われる。しかしこういった図鑑は学問的にはともかく、一般家庭で普段に生き物の絵・写真を楽しむにはどうも味気ないものだと思う。北隆館という出版社がこの牧野本をはじめ多数の植物図鑑を出しているが、他の版元の類似品を含めて一向にカラー写真化されないのはどうしてだろうか?
少数だがカラー写真付きの図鑑もあるにはあるが、網羅的なものはべらぼうに高価であり、一方、比較的安価なものは園芸・栽培植物に限定したもの、花壇・鉢植えの写真集だったりする。要するに大自然の“雄大さと野性味”が欠けている。更にはプロの写真家による大自然の植物・花の美しく生き生きとした写真集も多数ある。これらにはまさしく楽しむために一番適した写真が満載であるが、残念ながら生物学的な解説がほとんど無い。というわけで、どれも一長一短がある。そういう意味でも講談社本はオールマイティーな『読んで楽しむ』、『見て楽しむ』本である。私も実はこれまで歳時記というよりは写真集+植物図鑑としてこの本を使ってきたが、残念ながら版元品切れが続いている。
やれやれ随分と話が脱線してしまった。既に川柳には少しだけではあるが首を突っ込んでいる。俳句というものもこれから少しやってみるかと思っている。
【目次】
季語を楽しむ
春 時候/天文/地理生活・行事/動物/植物
夏 時候/天文/地理生活・行事/動物/植物
秋 時候/天文/地理生活・行事/動物/植物
冬 時候/天文/地理生活・行事/動物/植物
季語索引