読書の方法 なにをどう読むか  


読書の方法 なにをどう読むか (知恵の森文庫)
【タイトル】 読書の方法 なにをどう読むか
はてな年間100冊読書クラブ−No.048  
【著者】    吉本隆明
【出版社】   光文社(知恵の森文庫 よ4-1)
【発行年月日】 2006年5月15日
【版型 頁数】 文庫版 421頁
【版 刷】   初版1刷
【ISBN】    4334784216
【価格】    780円
【コメント】
2001年11月、同社より刊行された単行本の文庫化。1章が読書論、2章が読書に関するエッセイ集、3章は書評集の3つで構成されている。また中沢新一氏、荒俣宏氏との対談も収録、巻末には俳人齋藤愼爾氏による解説「還相の方位」も収録している。なお帯には「単行本未収録未収録作を中心に」とあり、先の単行本以外の作品も含まれている模様。
著者は詩人、評論家、思想家、戦後の学生運動の中心となった人たちなどいわゆる“全共闘”世代に大きな影響を及ぼした人である。数年前、海水浴中に溺れ、危ういところで生還し、文筆活動を再開している。読書論、読書読み物、読書案内として有用かと思い購入した。
学生時代より何度かこの人の著作に挑戦したことがあるが、毎回途中で投げ出してきた。要するに文章が難解なのである。「言語にとって美とは何か」、「共同幻想論」、「ハイ・イメージ論」など。他にも「源実朝」、「書物の解体」、「心的現象論序説」・・・・・・。何れも難解でよく分からない。評論家というのは普通の日本語を解さないのかと思うほど言葉・文章の意味が分からない。蓮見重彦*1柄谷行人*2大江健三郎*3なども同じらしい。本書ではもう少し砕けた感じで、誰にでも理解しやすいようにという意図が感じられる箇所もあるが、やはり難解である。どうしたらこういう文章を理解できるようになれるのか?何か言い方法があればご教示願いたい。さすがにエッセイ風の箇所はそれなりに理解できたと思っているのだが、果たしてどうだろうか?
20年程前から各出版社が新規に文庫・新書に参入し、ものすごい量の新タイトルが出版されるようになった。一読者としては、多様な書物を廉価で読めることになったので、大変結構なことだと思っている。しかし残念ながら“玉石混交”の感もあり、”はずれ”の書物を買い込むこともあり得る。そんな中で、この「知恵の森文庫」は講談社学術文庫ちくま学芸文庫と共に第2、第3の「岩波文庫」を目指した古典的教養書の廉価・普及版であると言えると思う。まだ刊行点数は多くないが今後重要なタイトルが入る可能性があり、目が離せないシリーズになると思っている。
【目次】
第1章 なにに向かって読むのか? 読書原論
第2章 どう読んできたか 読書体験論
第3章 なにを読んだか、なにを読むか 読書対象論
あとがき
本文に登場する主要な著作、著作者索引
初出一覧
解説 還相の方位 齋藤愼爾
定本 言語にとって美とはなにか〈1〉 (角川ソフィア文庫) ハイ・イメージ論〈1〉 (ちくま学芸文庫)

*1:文芸評論家、元東京大学総長。この人の文章は日本語ではないと思う。誰か現代日本語に『翻訳』してくれないと私にはとても読めないと思っている。

*2:やはり文芸評論家

*3:小説家、文芸評論なども書く。ノーベル文学賞受賞で世界的に有名だが、大変難解な作品が多いため私には理解できない作家だ。