こまった人


こまった人 (中公新書)
【タイトル】  こまった人
【著者】    養老孟司
【出版社】   中公新書
【発行年月日】 2005年10月25日
【版型 頁数】 新書版 215頁
【版 刷】   初版 2刷
【ISBN】    4121018192
【価格】    735円

【目次】
  本と商売/嘘をつく/日本人の沈黙/本田、松下、ソニー/派兵問題/流行現象/十二月八日

  参拝問題/いい加減にしてくれ/養鶏場に似るヒト社会/役に立たないこと/正義を取り戻せ/
  犬と猿/人格の否定

  相変わらずです/安心/愛国心がお国のためか/虫と長生き/引き際/奇妙なNHK朝日新聞

  人生安上がり/田舎暮らしの進め/一国民として/安全第一/一切空/政治嫌い/言葉と文化

あとがき
キーワード索引

【コメント】
中央公論に連載しているエッセイの単行本化第2弾である。前作『バカの壁』が歴史的な大ヒットとなり一躍ベストセラー作家となった著者の柳の下本か?エッセイなのでどこからでも読めるし、内容も難しくないのでバス停で、駅の待合でのちょっとした空き時間を有効に使うには良い本だ。
この著者は戦前の生まれなので、戦争には特別な思いがあるようだ。かなり古めかしい文体でのエッセイであるが、他の話題では飄々と淡々とした風格が感じられるのだが、いざ戦争や自衛隊靖国問題に触れる段にははっきりとした論調というか言葉尻のきっぱり度が増すようだ。私は戦争体験者であり、戦争の悲惨さを体験しているので、こういう話は自信を持ってきっぱりと言い切りますというような姿勢がうかがえる。
この人は日本の知性代表の一人だとズーと思っていたが、著書を読むのはこれが初めてだ。軽いエッセイということもあるがなかなか古風な文体でいいと思う。たしか定年まで3年ほど残して東大を退職し、最近北里大学教授になったはずだ。噂によると、同僚が世界的な研究成果をあげており、競争に負けて放り出されたとのことだった。本当かどうかわからないが・・・。東大といえば過去にも西部某や舛添某なども放り出された口だろう。しかしそれぞれに優秀な人たちであるので、新しい仕事場でいい仕事をしていると聞いている。この著者にも日本の知性としての発言を期待している。