ローリング・ストーンズ ある伝記


ローリング・ストーンズ―ある伝記【タイトル】  ローリング・ストーンズ ある伝記
【著者】    フランソワ・ボン
【出版社】   現代思潮社
【発行年月日】 2006年1月31日
【版型 頁数】 A5版 781頁
【版 刷】   初版 1刷
【ISBN】    4329004429
【価格】    8400円

【目次】
日本語版序文

  前奏 ― 1つのものとみなされた伝記と小説のための/そしてキース・リチャーズの初めての
  出現、一九六七年、リュフェッグで
音楽の考古学 ― ダートフォードの方へ
  ダートフォード駅、一九六〇年六月/オーガスト・セオドア・デュプリーについて/
  バートとドリス・リチャーズについて、ロイ・ロジャース、そしてハレルヤ/
  マイケル・フィリップ・ジャガーの最初の部分的な肖像/リトル・ボーイ・ブルー・アンド・
  ザ・ブルー・ボーイズ/ウィリアム・バークス、別名ビル・ワイマンによる並行する物語
チャック・ベリーについての必要な変奏
同じ物語のもう一つの側面 − ブライアン・ジョーンズ
  いかにしてエルモ・ルイスはある日ロンドンにやってきたか/ブルース・
  インコーポレイテッド/横断歩道を渡って/舞台の洗礼 − ミックとそのマイク/
  ブリックレイヤーズ・アームズでの十五分の待ち時間/イアン・スチュワート/
  [I hope they don’t think we’re a rock’ roll outfit.]
ローリング・ストーンズの発明
  イーディス・グロ−ブ一〇二番地/一九六二年十月、ザ・ビートルズのものすごく
  短縮された物語/[On drums, Charlie Watts.]/最大ズームを一九六三年一月に/
  ナンカーがフェルジに出会う − イーディス・グローブ第三ステージ
一九六三−六四年 − ローリング・ストーンズの真の栄光
  ステーションホテル・リッチモンド/アンドリュー・ルーグ・オールダム/[I Want
  To Be Loved]/ジャガー=リチャード、1つの署名の製造/変化の兆し − スカート、髪、
  音楽/[The Great Unwashed]/[Not Fade Away] − ロックンロールへの公式な入場/あなた
  の娘さんがローリング・ストーンズの1人と結婚するのを許しますか?/ニューヨークからLA
  経由でシカゴへ − アメリカを学ぶ/最初のアメリカ・ツアーについての追伸 − 
  ボビー・キーズ
一九六五年 − サティスファクション
  一九六四年、続き − マイセル・ブルースト式アンケート/満潮での騒乱/
  ガソリン・スタンドでの馬鹿げた話について、そしてそれに続いたことについて/
  サティスファクション、ついに/アレン・クライン − ローリング・ストーンズ
  売ります/俺の雲から降りろ/ヒトラーの長き誘惑
一九六六−六八年 − ブライアン・ジョーンズ、頂点と衰退
  ブロークン・イングリッシュ、マリアンヌ・フェイスフル/フルートとチェロ ―
  (Ruby Tuesday)/レッドランスについてと、その顛末/アニタ、キース、ブライアン − 
  大いなるキャスリング/車輪で蝶を轢き潰すのは誰か?/我が家から二千光年離れて/子どもに
  は適さない
水と鉄と火の死者たち/
  爆発 − ジャンピングジャック・キャッシュ/ワン・プラス・ワン/
  ディストーション[Performance]/ストーンズ・マッハⅡ − ローリング・
  ストーンズ・サーカスからミック・テイラーへ/一九六九年六月。水。俺が
  ブライアンをやった/一九七三年九月。火。グラム・パーソンズ/ア・リトル・
  コカイン・シンパシー(一九六九年十月、ロサンゼルス)/一九六九年十二月、鉄。
  メレディス・ハンターとオルグセント([Gimme Shelter])
一九七〇−七五年 − メイン・ストリートのならず者
  ベロマーク − 倣慢なエンブレム/エグザイツ・コート・ダジュール − 
  ドラッグとフランス生活/一九七二年、ストーンズ・ツーリング・パーディー/
  AngieからIt’s Only Rock’n’rollへ − 崩壊/ミック・テイラーがローリング・
  ストーンズを放棄したことと…/…その結果としての、交代要員の選出について/
最後のらせん − ローリング・ストーンズ・アドリブ
  セックス、ドラッグ、ロックンロール − 続き/トロント、三二階、スイート三二/
  もっと速い曲(More Fast Numbers) – 盲人たちのために/産業時代、そして家庭生活/
  ソロ・アルバム、そして憎み合う兄弟たち/われらが青春のヒーローたちはどこへ行くのか?
選り抜きビブリオグラフィ
訳者あとがき
【コメント】
新聞、雑誌、各方面で話題になっている本。ローリング・ストーンズは長く活動しており、世界的に有名なので数多くの伝記本が出ているが、それらの中でも最高傑作といわれているそうだ。、
著者は現代フランスを代表する作家。熱烈なストーンズファンで、『追いかけ』をやっているとのこと。そういえば、ストーンズのメンバーはフランスにあるモナコ公国に住んでいるはずだ。出身の英国は高額所得者の税率がモーレツに高いので、『国外逃亡』するミュージシャンや芸能人が多い。モナコ所得税が無しという天国のような国なので、大勢の芸能人が住んでいる。
さて伝記である。A5版、780頁、重量が1kgもある大著である。ここのところ"重たい"本に少々へきへきしているのだが・・・。なるほど小説家の書いた本である。かなり脚色が加えられているようだ。本人たち、周りの人々のインタビューの他に著者の思いが相当に色濃く入っているので、読み物としては面白いが、『有名人の記録』という観点からは大分ずれた内容となっているのではないか?それでもこれだけの分量の情報がまとまって、1人の著者によって統一的なスタイルで書かれているので、読者にとっては貴重な1冊になるに違いないと思う。
デビュー当時、ローリング・ストーンズビートルズのライバルといわれていたが、実際はレコード売上高では圧倒的にストーンズの方が少ない。よく言われるのが、『ポップなビートルズ』VS『ブラックなストーンズ』であろう。ビートルズは幅広い層に親しまれたが、ストーンズはかなりマニアックなファンが多いという違いが有る。たしかに、その初期にはかなり黒人音楽を意識したソウルフル、ブルージーサウンドだった。この初期の作品こそストーンズの真髄だと思っているファンは多いようだ。当時イギリスでは三大ブルースバンド(サヴォイ・ブラウン、キッシン・シャック、フリートウッド・マック)、ブルース・ブレーカーズ、ヤード・バーズなどブルースの影響を強くうけたグループが流行った。要するにそういう時代背景のさなかにストーンズが誕生したのだ。そういう意味では、英国ロック界の正統的バンドといえると思う。むしろビートルズの方が一般受けを狙った、ポップな仕立てのアイドルグループという感が強い。(興行的な成功は別の話だが・・・)私の中ではそんな風にストーンズを評価している。
この3月22日(水)より世界ツアーの一環での日本公演が始まるそうだ。全員が60歳を過ぎた、元悪ガキのイカレたジイさんたちであるが、かっこいいものだ。