現代思想 臨時増刊 29巻 15号 2001年
【タイトル】 現代思想 臨時増刊 29巻 15号 2001年
特集号 現代思想を読む230冊
【著者】 編集部
【出版社】 青土社
【発行年月日】 2001年11月25日
【版型 頁数】 A5版変形 254頁
【版 刷】 初版4刷
【ISBN】 4791710827
【価格】 1260円
【コメント】
2001年11月に編まれた現代思想のガイドブック。先に取り上げた『戦後思想の名著50』と同じく、思想再入門の目的で購入した。再入門と言っても30年以上前にほんの少しだけかじった程度なので、偉そうなことは言えないのだが…。最終章には上野千鶴子、成田龍一、岩崎稔の3人による対談・『戦後思想を読む』が掲載されている。この3人は先の『戦後思想の名著50』・平凡社の選者・編者そのものであり、取り上げている本もほとんど同じである。どうやら両者の出版は一連の取り組みとして企画されたようである。従って『戦後思想の名著50』の編集経過のいきさつ、本を取り上げた理由などが編者自らによりいきいきと語られている。
本書の構成は、「文化とアイデンティティーを読む」、「国家を読む」、「社会を読む」などよりなる5つの分野を、合計43のセクションに分け、それぞれの分野で重要な書物を上げて紹介している。また巻頭言では養老孟司が飄々とした文章を披露しているのも魅力である。
この本のいいところは、「科学と生命を読む」を取り上げ、都合9つのセクションを組み込んでいる点である。思想界には当然ながら、科学思想も含まれるはずなのに、何故か科学と社会・政治・文学などとを切り離して『思想』が語られる場合が多い。事実『戦後思想の名著50』では科学思想はすっぽりと抜け落ちているのである。現代において、社会や政治と科学とが無関係であるはずもなく、どうして切り離すのか理解できない。本書のように、これらを同じ土俵の上で議論してこそ有意義なものとなると思われる。そういう意味で本書の意義は高いと評価している。
前にも書いた通り、思想にふれることで今後の生活を見つめなおす機会を持ちたいと考えている。執筆者に何人か名前を知っている人がいたので、こういう人たちが取り上げる本を読めば参考になるだろうと期待している。本書を参考に少しづつでも着実に進めていきたいと思う。
【目次】
エッセイ 私の5冊 養老孟司 … 8
文化とアイデンティティーを読む … 11
メディア 吉見俊成 … 11
カルチュラル・スタディーズ 上野俊哉+毛利嘉孝 … 16
フェミニズム 竹村和子 … 23
クイア理論 河口和也 … 30
ポストコロニアリズム① 本橋哲也 … 34
ポストコロニアリズム② 岡真里 … 38
在日朝鮮人 洪貴義 … 42
ポストモダン 田崎英明 … 46
社会を読む … 52
公共性 斎藤純一 … 52
市民社会 水島一憲 … 56
権力 杉田敦 … 60
バイオ・ポリティクス 市野川容孝 … 64
アンダーグラウンド・カルチャー 酒井隆史 68
消費 松井剛 … 72
グローバリゼーション 足立眞理子 … 76
ネオリベラリズム 平井玄 … 80
国家を読む … 84
国民国家 李孝徳 … 84
マルクス主義 植村邦彦 … 88
証言 中野知代 … 92
戦争責任 西野瑠美子 … 96
アジア 丸川哲史 … 100
暴力 早尾貴紀 … 104
正義 大川正彦 … 108
人文科学を読む … 112
文学理論① 大橋洋一 … 112
文学理論② 佐藤泉 … 116
アート 香川壇 … 120
日本語 安田敏朗 … 124
分析哲学 戸田山和久 … 128
観念論 黒崎政男 … 132
精神分析 十川考司 … 136
歴史 崎山政毅 … 140
教育 大内裕和 … 144
文化人類学 原毅彦 … 148
宗教 磯前順一 … 152
科学と生命を読む … 156
科学論① 金森修 … 156
科学論② 塚原東吾 … 160
生命 池田清彦 … 164
システム 河本英夫 … 168
オートポイエーシス 河本英夫 … 172
アフォーダンス 佐々木正人 … 176
内部観察 松野孝一郎 … 180
脳 信原幸弘 … 184
動物 長野敬 … 188
対談 戦後思想を読む … 192
上野千鶴子+成田龍一+岩崎稔