スローライフ  緩急自在のすすめ 

スローライフ―緩急自在のすすめ (岩波新書)
【タイトル】  スローライフ 緩急自在のすすめ はてな年間100冊読書クラブ−009
【著者】    筑紫哲也
【出版社】   岩波書店岩波新書1010)
【発行年月日】 2006年4月20日
【版型 頁数】 新書版 207頁
【版 刷】   初版1刷
【ISBN】    4004310105
【価格】    735円
【コメント】
著者は朝日新聞記者、同紙米国特派員、朝日ジャーナル編集長を経て現在ニュースキャスター、TBS・『筑紫哲也ニュース23』でおなじみのジャーナリスト。『自由の森大学』学長、NPO・『スローライフ・ジャパン』の設立など文化活動にも積極的に取り組む論客である。
本書は雑誌・『図書』・岩波書店に連載したエッセイを単行本化したもの。前述のスローライフ活動についての想いを政治や文化、食との絡みで展開している。エッセイ風の仕立てなので、政治など難しい話題でもあっさりと読めてしまう。
その理由は、この人の文章は読む人にできるだけわかり易い言葉で伝えたいという意図がはっきりしているためであろうと思う。その結果とてもスムーズに、良いテンポで読書がはかどるのである。これは氏がキャスターを務めるニュース番組でも感じることであり、丁寧にわかりやすく喋るのだという思いが伝わってくる。画面を見ていると、時として言葉に詰まるシーンが度々見られるが、これは慎重に言葉を選んで喋ろうという意思の表れであろうと思っている。
スローライフとは、イタリアで生まれた『スローフード』から発展した言葉で、食だけでなく生活そのものをゆったりと、慌てず、急がず、着実に今を噛み締めて生きようというメッセージだと思う。定年退職後のカントリーライフなどにも繋がる思想だといえよう。
私も退職後は田舎で半分農業、半分隠居の生活をしたいと思っている。両親ともに農家の出で、実家も長らく農業をやっていたので、いくらかの百姓仕事は知っている。住むならどこがいいだろうか、どんな作物を作ろうか、資金は足りるだろうかなどいろいろ思い巡らす今日この頃である。
【目次】
まえがき
1 「それで人は幸せになれるか」 ・・・ 1 / 2 スローフード9・11一神教 ・・・ 15 / 3 ファストフードの時代 ・・・ 29 / 4 寿司と蕎麦、そして「地産地消」 ・・・ 43 / 5 「食」の荒涼たる風景 ・・・ 55 / 6 小さな旅、スローな旅 ・・・ 67 / 7 失われた「子供の楽園」 ・・・ 81 / 8 急ぐことで失うもの ・・・ 95 / 9 「学ぶ」ということ ・・・ 109 / 10 「スロウェアー」、「ファストウェアー」 ・・・ 125 / 11 ロハスのすすめ、森林の危機 ・・・ 139 / 12 「木」を見直す ・・・ 153 / 13 長寿と「人間の豊かさ」 ・・・ 167 / 14 スローライフ、北で南で ・・・ 181 / 15 真の「勝ち組」になるために ・・・ 195