人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。  


人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。―武者小路実篤画文集
【タイトル】  人生は楽ではない。そこが面白いとしておく。
        武者小路実篤画文集 はてな年間100冊読書クラブ−No.040  
【著者】    武者小路実篤
【出版社】   求龍堂
【発行年月日】 2006年3月9日
【版型 頁数】 B5版 123頁
【版 刷】   記載なし
【ISBN】    476300607X
【価格】    3150円
【コメント】
著者*1は、『真理先生』、『友情』、『お目出たき人』などの作者で、文芸雑誌・『白樺』の創刊にも立ち会った小説家。実験的な理想社会の試み、『新しき村*2』の実践者としても名高い。本書はこの作家の水彩画と毛筆による短文からなる画文集である。朝日新聞の日曜に登場する書評コーナーで、イラストレーターの南伸坊氏が紹介していたのを読んで、面白いと思い購入した。
なるほど味わいのあるいい絵である。野菜、花、生き物、達磨など置物といった物の水彩画であるが、とてもセンスの良い上品な絵である。また『君は君、我は我也 されど仲良き』など良く知られた名文が柔らかなタッチの毛筆で書かれ、更にこれらの絵を引き立てる。画文集とはこういうものを言うのだろうと思う。
絵を眺めながら、文を読み、その意味するところを想像するという、ゆったりとそしてしみじみと時間を過ごすには持ってこいの本である。そこには特別な評論家諸氏の解説はいらない。この絵を観て、文を読み、自分が何を感じるのかが一番大事だと思う。いろんな場面、多くの人たち、様々なストーリーなどが想像できたら、多分その絵は自分にとってとても良い絵であり、良い文だと言えるのだろう。
この画集はスキャナーで取り込んでいろんな加工が出来る。葉書に刷り込む、ノートの表紙に貼り付ける、本に挟み込むしおりを作る、ポートレート風に小さな額縁に入れるなどいろいろ遊べそうだ。それからPCの壁紙にも使える。是非やってみようと思っている。

*1:むしゃのこうじさねあつ、名前から推察されるように元子爵の家に生まれた。

*2:実篤により提唱された理想的な社会作りを目指して、大正7年に宮崎県児湯郡木城町石河内で始まった共同生活。現在も埼玉県入間郡毛呂山町でその理念に基いた活動が続いている。