エリック・クラプトン今むかし その1


今、BGMを聞きながら書いています。今日の話題は私の一番好きなミュージシャンの一人、エリック・クラプトンについて。
最初に聴いたのは彼のキャリアーの内で随分後になってから。私が高校に入った頃、例のドラッグ中毒による隠遁生活から立ち直り、『461 Ocean Boulevard』を発表したときだった。このアルバムからシングルカットされた『I Shot the Sheriff*1』が大ヒットしていた。この曲自体はそれほど大好きというわけでもなかったが、その解説でクラプトンという人に興味を持った。そうそう音楽雑誌・『ミュージックライフ』・ミュージックライフ社の定期購読を始めたのもこの頃からだった。1972年頃だったか?
この頃はハードロックの全盛時で、英国ではディープ・パープル、レッド・ツェッペリンアメリカではグランド・ファンク・レイルロードなどが流行っていた。高校では既にこれらの話題が相当に浸透しており、皆でレコード*2の貸し借りなどしながらいろいろな音楽を楽しんでいた。
I Shot the Sheriff の大ヒットでカムバックしたクラプトンは、その後自身のバンドを率いて世界ツアーを行い、日本にもその頃初来日している。順調に音楽活動を再会したが、評論家諸氏の論評は芳しくなく、隠遁生活以前の“神懸り的な”ギター演奏を見せなくなったクラプトンを評して、『スロー・ハンド*3はもう終わった』と言われていた。当時私はそれらの事情を何も知らなかったが、興味の赴くままに彼が過去に発表したアルバムを逆方向に追いながら、彼のキャリアーを私なりに調べていった。大学に入った頃にようやく彼の音楽歴が理解できるようになり、カムバック当時の酷評の意味が分かったのである。またスタジオアルバムでは長いギターソロを行わなくなっていたが、ライブでは相変わらず“God Hand 、神懸り的”と称されるアドリブ演奏は健在であり、『Just One Night*4』でそのすばらしい演奏を聞かせてくれる。これが出たのが大学4年ごろ、1979年だったと思う・・・・・・。やはり彼の持ち味はギターのアドリブソロであり、ライブでそのいいところが強調されるので、臨場感溢れるライブアルバムが似合っているように思う。この『Just One Night』は『いとしのレイラ*5』と共に彼の最高傑作といえるアルバムであり、私のお気に入りのアルバムである。
だいぶ長くなったので続きはまたの機会に、エリック・クラプトン今むかし・その2として書きたいと思います。
461 OCEAN BOULEVARD Just One Night いとしのレイラ (リミックス・ヴァージョン)

*1:これはボブ・マーリーの曲、当時ジャマイカの音楽・レゲエが全世界で大流行しつつあった。クラプトンやボブ・ディランなど多数のミュージシャンが影響を受けていた。

*2:当時はもちろんCDなど無く、レコードと称するプラスチック製の円盤に音楽データを書き込んだものを、ターンテーブルと称する装置で再生し、アンプ、スピーカーを通して音楽鑑賞していたのだ。今、文章だけでリアルに説明するのはかなり難しいなー。当然ながらレコードは町のレコード屋さんで買った。今、こんな店はもう無い。

*3:彼のニックネーム、Slow Hand とは目茶目茶の早びきという意味の黒人のスラング。彼のギターソロの早びきを絶賛する言葉である。

*4:2枚組みライブアルバム、日本を含む世界ツアーで録音されたものを編集して製作された。

*5:デレク・アンド・ドミノスという彼のバンドの作品、アルバムタイトルにもなっている曲はロックの歴史に残る名曲中の名曲である。