1年半ぶりの帰郷にて


去年の正月以来1年半ぶり、両親に顔を見せに帰郷した。またまた景色の変化が甚だしく、昔の面影がどんどん失われていた。生まれ育った故郷が、経済発展を遂げ、生活が便利になったとはいえ、なにやら妙に淋しくも有る。とにかく大量の家・家・家・・・・・・。それから生活用品の店・店・店・・・・・・。食物屋の列、派手派手しい看板、ネオンサイン、そして車・車。車・・・・・・。40年前は、地方の政令指定都市の西端にある農村だったはずだが今はベッドタウンと大規模工業団地の共存する一大都市に変貌してしまった感がある。山という山は削り取られ、セミやクワガタ取りした場所も今は微塵もその姿を残してはいない。一体ここは何処なのかなどと思ってしまう。
今回も当ても無く昔走り回っていた道をさがして車を走らせたが、景色が変わり果てたのと昔の道自体がなくなってしまったので、当時の記憶が相当にぼやけてしまって、自分でも愕然としている。ここは何処なのだろう?確かに私にとっての故郷であり、帰ってくる場所であるはずなのだが、その場所が何処なのか殆ど思い出せなくなってしまうほど変ってしまった。
小学校当時、私の住むI町は人口6000人だと教えられた。それが今はなんと6万人ほどに増えているそうだ。40年間で10倍にもなる。I町のあるN区は人口が実に33万人となり、地方の中堅都市並みの規模になった。昔は西端の農村中心の区であったのに・・・・・・。全くエライことになってしまったものだ。
こういうことは日本中何処にでもあることなのだろうか?何もこんなにも激変させることはないだろうに、ちょっとだけでもたまに帰ってくる人のために懐かしい風景を残しておいてよと思っているのは私だけではないだろう。これじゃ両親がいなかったら、全然知らない町かと思ってしまうではないか。
いつもながら帰郷するとその変り様に驚くばかりだが、際限なく変りつづける様は最早不気味でさえある。とどまることを知らないその様は一体何処まで行こうとしているのか?誰がこんなに変えてしまうのか?私の故郷は何処へ行ってしまったのか?
漠然とでは有るが、定年退職後はここへ帰ってこようと思っている。しかしこれではその甲斐もないかななどと不安になる。さあてどうしよう。考え直さないとなどと思っている今日この頃だ。