直立歩行


直立歩行―進化への鍵
【タイトル】  直立歩行 進化への鍵
【著者】    クレイグ・スタンフォード
【出版社】   青土社
【発行年月日】 2004年11月20日
【版型 頁数】 四六版 242頁
【版 刷】   初版 2刷
【ISBN】    4-7917-6148-0
【価格】    2520円

【目次】
はじめに 
赤ん坊の歩み
1章 最初の1歩 
  歴史を歩く
2章 こぶしで歩く
  祖先たる類人猿/腕の動作/類人猿は,何を,なぜするのか
3章 天国の歩行
  移動の高い費用/人間の歩き方/すべてはヒップにかかる/深く息を吸う/直立することの欠点/
  カーブを投げる/頭を冷やす
4種 拡張された家族
  ジェラ紀の教訓/二足動物園/逆行進化/頑丈な世界観
5種 みんなルーシーが好き
  数あるうちの一つ/人類のための生息環境/ルーシーの人生/巣の卵
6章 何のために役立つのか
  最初の歩み
7章 肉を捜し求めて
  チンパンジーから得る手がかり/肉とジャガイモ/二ステップの歩み
8章 よりよい二足動物
  ネアンデルタール人 − たしかに人類/アフリカからオリエントへ/イブは歩いてエデンを
  出たのか/犠牲者たち
8章 スカイウォーカー
訳者あとがき
参考文献
索引 
          
【コメント】
著者は南カルフォルニア大学、人類学及び生物学部教授でジェーン・グドール研究センターの共同所長である。本書は人類学の立場からヒトは何時どのようにして直立歩行を獲得したのか、そしてその意味は何かを考える中でヒトの進化を論じようという試みをしている。
著者によれば、一般に形態の変化(表現型の変異)が先んじて起こり、後からその意味というか特性、用途開発が行われるという。1例として、チンパンジーとヒトの共通祖先は現生のチンパンジーと同じく森林に住んでおり、木の登ることもあった。そしてある時点で直立歩行に適した骨格、体型を獲得したがまだ住み慣れた森林を離れることはなかった。そしてその数百万年後になってから森林を離れ平原へと放散していったということらしい。こういうことが一般的だということはこれまで知らなかったが、言われてみればそうかなと思う。
これまで進化論というと古生物学的な本を読むことが多かったので、このあたりの議論は実に刺激的で面白かった。今後も幅広く進化の本を読んでいきたいと思う。