対談 新しい進化論の可能性


【タイトル】  対談 新しい進化論の可能 
【雑誌】    現代思想 34巻 2号 44-67. 2006.    
        雑誌の紹介頁 http://d.hatena.ne.jp/zyugemu/20060208
【著者】    池田清彦 生物学 早稲田大学教授
        津田一郎 数学 北海道大学教授
【出版社】   青土社
【発行年月日】 2006年2月1日
【内容】
特集 ポストゲノムの進化論の第一論文。対談という形での今後の進化論についての議論。池田教授はおなじみだが、津田一郎という人がどんな人だか知らない.数学者ということであるが、経歴などが記載されていない。Googleで調べたら、北大大学院理学研究科教授、専門は複雑系の数理、特にカオス的力学系と脳の理論的研究、および応用数学、実験数学とあった。それでこの対談の後半部分に脳の話が相当に突っ込んだ形で出てくるのか?
冒頭からこれからの進化論を発展させていくには、ネオダーウィニズム的方法論だけでは全く不十分であり、池田の言う『構造主義生物学』的な考え方を取り入れた実験系の開発、発生生物学的アプローチが不可欠だと池田は主張する。特に大進化については、これまでの自然淘汰遺伝的浮動による進化(形質の変化)では説明できないとする。具体的には、①物質としての遺伝子だけではなく、システムとしての細胞を考慮する必要がある、②遺伝子発現のタイミングにより大幅な構造の変異が起こり得る(ヘテロクローニー)、③遺伝子構造は変わらないが、働く場所が変わると、大幅な形質変化が起こる(ヘテロトピー)、④これらを実験的に証明するには、発生学からのアプローチが必要だとする。
また津田の見解は、脳の存在が進化に大きく影響してきたとする。従って脳が大きく変化するような変異が起きれば、進化は進むと考えられるとする。(この辺は難しくてよくわかりません。脳の勉強もこれからやります…)
総じてネオダーウィニズムを批判するコメントが多いという印象が強かった。