はじめに線虫ありき


はじめに線虫ありき―そして、ゲノム研究が始まった
【タイトル】  はじめに線虫ありき そして、ゲノム研究が始まった
【著者】    アンドリュー・ブラウン
【出版社】   青土社
【発行年月日】 2006年2月10日
【版型 頁数】 四六版 283頁
【版 刷】   初版 1刷
【ISBN】    4791762541
【価格】    2520円

【目次】
序               … 7
第1章 シドニー・ブレンナー  … 15
第2章 線虫とは        … 43
第3章 プログラム       … 65
第4章 神経          … 97
第5章 サルストンと細胞たち  … 117
第6章 胚の系譜        … 145
第7章 線虫西へ行く      … 159
第8章 DNA革命       … 187
第9章 配列          … 213
第10章 結末          … 255
謝辞              … 277
資料についてのノート      … 278
訳者あとがき          … 280
索引
【コメント】
著者は英国在住のフリーのサイエンスライター、利己的遺伝子/社気生物学論争(ドーキンスvsグールド)を描いた、『ダーウィン・ウォーズ』・青土社(長野敬 訳)などの著作がある。
本書は分子生物学の研究材料に線虫を用いて先駆的な成果をあげたシドニー・ブレンナーの外伝とも言うべき書である。分子生物学の初期には、研究材料としてウィルス(バクテリオファージ、タバコモザイスウィルスなど)や細菌(大腸菌、枯草菌、緑濃菌など)が多く用いられた。その後、酵母(バン酵母)やその頃より培養技術がようやく確立されつつあった動物細胞(ヒトを含む)が用いられるようになった。
ブレンナーはワトソンらと同世代であるが、分子生物学のメッカ、ケンブリッジ大学MRCでその研究キャリアを開始し、研究材料として当時あっと驚く『線虫』を選んだのである。研究材料としての『線虫』については本書に詳しく書かれているが、学生時代丁度このニュースを聞いた私も随分と驚いたことを覚えている。それ以来詳しい内容は追ってこなかったが、2002年のノーベル賞受賞でその成果をいくらか知った次第である。言わば『ヘンな材料を研究したヘンな研究者達』であるが、その成果は大変にユニークで先駆的だったということになると思う。