ダーウィンと原理主義

ダーウィンと原理主義 (ポストモダン・ブックス)

【タイトル】  ダーウィン原理主義  【著者】    メリル・ウィン・ディヴィズ
【出版社】   岩波書店        【発行年月日】 2006年1月27日
【版型 頁数】 B6版 117頁 【版 刷】   初版1刷
【ISBN】    4000270842 【価格】    1625円
【目次】
日本語版に寄せて
ダーウィン原理主義                 … 001
原注                         … 083
文献                         … 090
基本概念                       … 093
解説 進化論と創造論、自然科学と原理主義 [佐倉統]  … 097
読書案内 [佐倉統]                  … 113
【コメント】
本書はダーウィニズム創造論の対立、社会生物学の問題点をコンパクトに解説しようとした書であろうと思われるが、残念ながら日本での出版には失敗した模様である。一言で言うなら、本文82頁ほどの短編に、前提となる背景や米国内の社会現状などの予備知識、解説が殆ど欠けているため、日本人にはよく理解できない内容になってしまっている。即ち、米国で一般的に知られている創造論やスコープス裁判などは日本においてはほとんど知られていないので、何の前置きもなく著者の考えの骨子だけをいきなり記述しても何のことだか殆どわからないのである。佐倉統氏による解説を先に読んでから本文を読んだほうがいくらかは理解しやすいかもしれないが、それでもスコープス裁判には全く解説が無いので、多くの読者はここから以後の論理展開は殆どわからないだろうと思う。従って本書の主旨は殆ど理解されなまま欲求不満だけが残る結果になってしまった。短い文章で簡潔に主旨を伝えようという意図はわかるが、前提条件が全く欠けていては肝心の主張も全く読者に伝わらないと思われる。
なお創造論の現状と問題、スコープス裁判については、鵜浦裕・『進化論を拒む人々』・勁草書房進化論を拒む人々―現代カリフォルニアの創造論運動及びナイルス・エルドリッジ・『進化論裁判』・平河出版社・ISBN:4892031933
というわけで今回は『はずれ』でした。