堕落論 戦後思想の名著50・第3巻


堕落論 (角川文庫クラシックス)
【タイトル】  堕落論
        戦後思想の名著50・第3巻
【著者】    坂口安吾
【出版社】   角川書店(角川文庫1536)
【発行年月日】 1957年5月30日
【版型 頁数】 文庫版 280頁
【版 刷】   改版81版
【ISBN】    4041100038
【価格】    438円
【コメント】
  1947年、銀座出版社より刊行、その後角川文庫、新潮文庫で再刊されている。この4月に近くの本屋で角川文庫版を購入したが、平成17年印刷でなんと81版である。1版が何部なのかわからないが、これまでにいったい何部売れたのだろうか?というわけで“日本の出版界“を代表する本である。
  著者は織田作之助壇一雄太宰治らとともに“無頼派”と呼ばれる作家である。この小説家による戦後論の名著、青春論や恋愛論も収録している。
  実は学生時代の1年先輩に文学かぶれがいて、その人の影響でこの本を読んだはずだが、もう30年も前のことなので中身はすっかり忘れてしまっていた。『生きよ、堕ちよ』といフレーズが印象的だった。敗戦後なにもかも焼け落ち、混乱した中で立て直すには、一度どん底まで堕ちてから這い上がるのだというメッセージであろうと思う。ただこの作家はどうも気が滅入る作品が多いので、あまり回りに進めたくないというのが本音だ。
  このあたり戦後すぐの出版物というのは戦争の悲惨さと戦後知識人たちの『自虐的な』雰囲気が生々しすぎるので、今までのめり込むのを避けるという感じで対応してきた。来年には50歳を迎える年代になりこれではいけないと反省している。頭がボケる前に少しは“親父たちの時代”を知っておかないといけないと思っている。
【目次】
日本文化私観 ・・・ 五
青春論 ・・・ 三八
堕落論 ・・・ 九一
堕落論 ・・・ 一〇三
デカダン文学論 ・・・ 一一五
戯作者文学論 ・・・ 一三〇
悪妻論 ・・・ 一五五
恋愛論 ・・・ 一六一
エゴイズム小論 ・・・ 一七〇
欲望について ・・・ 一七八
大阪の反逆 ・・・ 一八五
教祖の文学 ・・・ 二〇〇
不良少年とキリスト ・・・ 二二二
注釈 ・・・ 二四六
解説 
 坂口安吾―人と作品 磯田光一 ・・・ 二五五
 作品解説 壇一雄 ・・・ 二六一
年譜 ・・・ 二六八

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