フタバスズキリュウが首長竜の新種に

昨日(2006年5月16日付)の朝日新聞朝刊によると、38年前に福島県で見つかったフタバスズキリュウ*1が新種の首長竜*2であることが分かったという。国立科学博物館の研究者らの成果で近く英国古生物学会に発表される予定との事。日本には珍しく、全身骨格の七割に相当する部分が発見されている。体長は6〜9m、約8700万年前*3に海中を泳いでいたようだ。骨格にサメの歯が見つかっており、サメと格闘したと考えられている。
いやー、これはびっくりするニュースである。復元図が1面に掲載されているが、全身から見ると、恐ろしく長い首と小さな頭が特徴的な水生爬虫類で、産卵のとき意外は殆ど水中で生活していたらしい。ひょっとすると卵胎生かもしれないので、一生を水中で過ごしていたのかもしれない。首から下の部分はカメやアザラシに似た流線型で如何にも泳ぎに適した体型をしている。しかしどうしてこんなにも首が長くなってしまったのか?これほど長いとかえって弱点というか短所になってしまうだろうに・・・・・・。実際恐竜の仲間の進化を見ていると“限度・節度”というものを知らず際限なく大きく、長く変わっていったという感じがする。首長竜の首も、おそらく首の骨の強度限界まで長くなってしまったようだ。絶滅の主原因の1つに、地球全体が低温化した際に適応できなかったという説が有力だ。そして恐竜の体型の様にある程度を越えた変異・変化というのはもう後戻りできないといわれている。低温化した環境下で植物が激減し、草食獣が激減した結果、恐竜も食い物が無くなって死んでいったとされている。つまりここで体を小さくし、必要エネルギーを小さくして生き残るというような後戻りの変異ができなかったのだ。誠に残念ではあるが・・・・・・。
恐竜を含めて、多くの大型爬虫類というのは図体が大きい割に頭が小さいのでどこか愛らしい、コミカルな印象を受ける。(恐ろしい印象を受ける種類も少しはいるけどね。)だから動物としてみたときに皆好きになるのではないか。こんなのが例えば水族館や動物園にいたらさぞかし人気者になるに違いないなと思う。映画『ジェラシック・パーク』では恐竜の恐ろしい面だけが強調されていたが、その生態をもっと多岐に渡って描けばもっと面白かっただろうと私は思っている。
先日来このブログでも取り上げた、『生命と地球の進化』、『スー 史上最大のティラノサウルス発掘』という関連書を読んでいた。たまたまではあるが今回日本で大変にわくわくするニュースがあり、ちょっと不思議な因縁を感じている。全くの偶然ではあるのだが・・・。いずれにせよ日本でも自前の標本を基に、かつて地球全域を支配していた大型爬虫類の研究が進展することを願っている。

*1:いわき市の双葉層で鈴木さんが見つけた竜という意味

*2:ジェラ紀、白亜紀に栄えた水生爬虫類、魚食性。爬虫類鋼双弓亜目鰭竜類に含まれる。首長竜と恐竜はペルム紀に分岐した別のグループで,勿論首長竜は恐竜ではない。むしろ現生爬虫類のトカゲやヘビに近いグループらしい。魚の他にアンモナイトオウム貝を食べていたそうだ。

*3:白亜紀、恐竜の栄えた時代