イワシが一匹1150円


5月24日付け朝日新聞朝刊によると、マイワシの漁獲量が激減しており、1匹1150円という値段がついているという。キロ単価で4500円以上することもあるそうだ。これは“天然ウナギ”や“天然ヒラメ”に匹敵する値段だ。そういえばスーパーの魚コーナーでは生のイワシを見かけなくなった。“丸干し”、“目刺し”は殆どがカタクチイワシに代わっている。このカタクチイワシはチリメンジャコとしてその稚魚が使われてきたが、成魚はマイワシに味が劣るといわれ、食用より肥料、飼料に使われることが多かった魚である。その魚が今や“マイワシ”の代役となって食卓に上っているというありさまである。
このマイワシ激減の原因は、60年周期あるいは30年周期で繰り返す変動といわれている。1990年代より減り始めたので、早くても後15年ほどは量的に回復しないらしい。どうして減ってしまうのかは分かっていない。そういえば同じように大漁大漁で御殿が建つほど獲れたニシンが激減し、日本近海で全くいなくなってしまったのに似ている。このニシンは最近また近海ものが獲れ始めたようだ。
海の生物の『生態学』は研究自体が困難なためあまり進んでいない。特に泳ぎ回って生活の場を移動する魚類がそうである。身近なイワシという種でも生態学的な研究が難しく、その実態が良く分かっていないのである。これだけ劇的に数が変動するのは何故か?どこかへ移動してしまったのか?これもまた当分明らかにできそうもない自然界の謎でといえよう。