会社法入門


会社法入門 (岩波新書)
【タイトル】  会社法入門  はてな年間100冊読書クラブーNo.038
【著者】    神田秀樹
【出版社】   岩波書店(岩波新書1005)
【発行年月日】 2006年4月20日
【版型 頁数】 新書版 214頁
【版 刷】   初版1刷
【ISBN】    4004310059
【価格】    777円
【コメント】
会社法とは何か、その歴史と変遷、最近の改定の社会的背景とポイント、今後の会社法などがコンパクトにまとめられた入門書である。会社法(商法の1部を成す会社に関する部分)についての平成の大改定についても要領よく説明されている。著者は東京大学大学院法学政治学研究科教授、専攻は商法、証券法、金融法。岩波書店の広告に寄れば、この分野の第1人者である由。本書も岩波新書新赤版リニューアルの第1弾として出版され、その広告を見て是非読みたいと思った本である。
第1章は会社法概論、特に時代の要請のポイント、変遷小史が解説される。第2章、3章が会社法の内容説明、第4章が特に組織再編・再生という今時の話題であり、例のライブドア騒ぎにもふれられている。第5章が会社法の今後についてとなっている。
実は法律というものが大変苦手だ。法律だけでなく、国や自治体の発行する行政上の文書もまたそうである。理由はいろいろあるが、一番大きな理由は大変に理解しにくい文章で書かれているものだからということだ。実際こんなに“読みにくく、分かりにくい”日本語文も無いと思う。以前に何かの雑誌で読んだことだが、(確か作家の堺屋太一氏の文章だった、同氏は元通産省の官僚)国家公務員上級職で官庁に就職した際、新人研修で、法律というのはいくつもの意味に取れるような文章で書いてははいけない。誰が読んでも、厳密に1つの意味しか取れないような文章を書けと教えられたとの事。なるほど確かにそうでなくてはいけないと思う。それが故に法律というのは、ややこしい構成の、長たらしく、込み入った難解な文章となってしまうらしい。それにしてもである。法律独特の言い回し、文体、用語というのは一般人には近寄り難いものがある。私も会社員である限りいろいろな法律に関わっているはずであるが、できればあまり近寄ってほしくないと思っている。とはいいつつも、例えば消防法、化審法、薬事法特許法などには関わりたくないなどとも言っておれないので、幾らかは読んだことはあるのだが、いやはや読みにくい文章である。
というわけで法律というものは誰にでも重大な関わりがあるはずなのだが、あまり身近に感じていないのではないかと思う。本書も用語については大変に分かりにくく、実はあまり理解できていないのではないかと自分でも思っている。
しかし会社の形態、活動、在り方がどんどん多様になるに従って、会社法もまたどしどし改訂する必要があり変わっていかなければならないのは理解できる。ここ2、3年の“敵対的企業買収”、“ヘッジファンドの暗躍”など日本の会社にも欧米型の考え方を取り込んだ経営が、特に若い世代の経営者に浸透しつつあると思える。こういった動きが活発になるにつれ、規制緩和と規制強化、組織再編成・再生の枠組みつくりなど会社法の改定・整備が急務なのだろうと思っている。そういった意味で本書の刊行は誠にタイムリーな出版といえよう。
【目次】
はじめに 
第1章 なぜ、いま新「会社法」か ・・・ 1
第2章 株式会社の機関 ・・・ 49
第3章 株式会社の資金調達 ・・・ 99
第4章 設立、組織再編、事業再生 ・・・ 147
第5章 会社法はどこへ行くのか ・・・ 181
あとがき