エリック・クラプトン今むかし その2


前回はクラプトン復活について書いたので、今回はその後のクラプトンについて書く。パティ・ボイド*1とめでたく結婚し、1男をもうけて私生活でも充実していたが、ドラッグの次は“酒”が災いの元となった。アル中と胃潰瘍である。確かにこの頃は酒を飲んで泥酔状態でステージに上がっては失敗するということが多かったようである。どうにもならなくなったので“厚生施設”に入って治療したそうだ。その間また暫くお休み・・・・・・。
だからこの1980年ごろ発表のアルバムたちはイマイチ精彩を欠いているようで、私自身もあまり好きではない。シングルカットも大きなヒットにはならなかった。それからカムバック以後アメリカに住み。アメリカ人中心のメンバーでバンドを編成していたが、この辺りも音作りにかなり影響していたと思う。当時流行っていたレゲエ*2やウェストコースト風*3サウンドになっており、ギンギンに引きまくるクリーム時代*4とは全くスタイルが変わってしまった。一人のミュージシャンが年齢を経るに従って変貌していくことはよくあるが、基本スタイルまでは変わらない場合が多い。クラプトンの場合は“ブルース”がそのルーツにあるはずなのに、このころはそのブルース臭さがほとんど無くなり、爽やかでポップなロックンロールという感じだったように思う。評論家諸氏の論評も、リラックッスしておとなしくなったクラプトンと賛否両論があった。
丁度その頃私も就職し、学生から社会人に“変貌”して、音楽自体をあまり聞かなくなっていたので彼の細かな消息は知らない。一応何枚かのアルバムをFM放送からコピーし、一通りは聞いたが印象に残っている曲は無い。そうそうこの頃から、クラプトンのベストアルバムが何枚も出だした。どうして同じ曲が入っているアルバムをこんなに出すのかと思うぐらい何枚もある。こういったアルバムが出るのはBigになった証拠ではあるが、そもそもヒット曲、ヒットアルバムが出てないということでもある。
というわけで、エリック・クラプトンにあまり興味が無くなった私は、同じくブルースを基調とする他のギタリストへその指向を変えていった。ロイ・ブキャナン*5カルロス・サンタナ*6、ロリー・ギャラガ*7ジェフ・ベック*8デュアン・オールマン*9ジミ・ヘンドリックス*10などなど。この頃から『アンプラグド』が発表され再度大ブレイクするまでクラプトンのことは頭にありながら、この間のアルバム自体は一通りしか聞いていない。
次回はアコースティックに変身して大ブレイクし、グラミー賞まで受賞してしまったクラプトンについて書きたいと思っている。
Live ザ・ハーダー・ゼイ・カム Minute By Minute (24 Karat Gold Disc) ホテル・カリフォルニア(紙ジャケット仕様) クリームの素晴らしき世界 アンプラクド~アコースティック・クラプトン ロータスの伝説(紙ジャケット仕様) (22面体ジャケット仕様) Irish Tour ベック・ボガート&アピス・ライヴ・イン・ジャパン THE BEST 1200 オールマン・ブラザーズ・バンド エレクトリック・レディランド

*1:パトリシア・ボイド、美人の元モデル。ジョージ・ハリソンの元妻でいとしのレイラその人。尚この結婚の立会人はあのブルース界の大物、マディ−・ウォータース夫妻が勤めた。

*2:ジャマイカが発祥の音楽、強烈なパーカッションとビートの利いたサウンドが特徴であり、ボブ・マーリィーとウェィラーズ、ジミー・クリフなどが活躍した。

*3:アメリカ西海岸の乾いた透明感のあるサウンドが特徴。ドゥービー・ブラザース、イーグルスなどが代表的なバンドである。

*4:クラプトンのギター、ジャック・ブルースのベース・ボーカル、ジンジャー・ベーカーのドラムスというトリオ編成のバンド。最高のテクニックを持つ3人が、長い長いソロ、アドリブ合戦を競うスリリングなライブが人気だった。

*5:カリフォルニアを中心に活動、愛機フェンダーテレキャスターの乾いた粘りのあるサウンドでのブルースが泣かせる。またクラプトンを初め多くのミュージシャンから絶賛を受けている。アルコール中毒によるノイローゼのため獄中にて自死

*6:メキシコ系のギタリスト、例のウッドストックで衝撃の登場となった。パーカッションの利いたラテン味のブルースフィーリングが特徴。日本でもおなじみで、何度も来日している。愛機はヤマハギブソンレス・ポールなど。先年グラミー賞を受賞した。

*7:アイルランド出身のギタリスト。フェンダーストラトキャスターを愛用し、スチールギターにも似たサウンドボトルネックギターを得意とする。この人のスタイルはけれん身の無いストレート一本槍の”剛球投手”という感じがある。アルコールが原因の心筋梗塞で急死。

*8:クラプトンと共に英国三大ギタリストの1人。元々はブルースを基調とするが、所謂フュージョンプログレッシブロックにも果敢に挑んできた。常に先進的で新しい音楽性を追求しつづける革新の人。また多くのミュージシャンより尊敬される孤高の人でもある。ギブソンレス・ポール・カスタムを愛用。

*9:米国南部で活躍したオールマン・ブラザース・バンドのリーダー。ギブソンレス・ポール・ゴールドトップでのスライドギターの名手。2枚組みライブアルバム、『フィルモアイーストライブ』は彼の才能を余すところ無く伝える、ロック史に残る名盤。スタジオミュージシャンとしても有名で、クラプトンのいとしのレイラでみせたバイオリンにも似た悲痛で引き裂くようなソロが泣かせるねぇー。交通事故にて24歳の若さで死去。

*10:左利きの神がかり的なギタリスト、歯で弦を引いたり、ステージ上でギターを壊したり、燃やしたりと大層なパフォーマンスも見せた。確かこの人もウッドストックに出ていたはずだ。米国人でありながら英国でレコードデビューし、大ブレイクした。この頃クラプトンとも親交があったようだ。ジミヘンといえば”白いストラトキャスター”といわれるほどこれを愛用した。薬物中毒が原因の事故のため27歳で急死。