20世紀・大日本帝国
【タイトル】 20世紀・大日本帝国 はてな年間100冊読書クラブ−No.064
【編著者】 読売新聞20世紀取材班
【出版社】 中央公論新社(中公文庫BIBLIO S17-3)
【発行年月日】 2001年8月15日
【版型 頁数】 文庫版 236頁
【版 刷】 初版1刷
【ISBN】 4122038774
【価格】 680円
【コメント】
本巻は20世紀シリーズの第3巻、明治維新により幕藩体制を突破し、近代化へと歩み始めた日本が、新たに向かえた外交的、経済的試練の幾つかを論じ、その経過・意義を問う。日露戦争*1、昭和恐慌*2、日中戦争*3である。
やはりここでも“戦争”が主題である。どうやら洋の東西を問わす、歴史の大筋は常に戦争により動かされてきたというのが実情のようである。先の第2巻・欧州大戦でもそうだったが・・・・・・。要するに『戦争は武器を用いた外交であり、外交とは武器を用いない戦争である』というローマ帝国の格言は的を射ているようだ。
当時まだ民主主義が定着しておらず、明治以前の“士農工商”と同じような階級性社会の中にあって、軍部という権力集団の影響力がどんどん大きくなってきて、遂には政治の中枢に居座ることになっていった様が明らかになる。独逸におけるナチスのような展開が日本でもあったわけである。その後には世界大戦への参入という無謀な行為へと向かうことになる。
軍部関係の歴史、いきさつなど詳しいことは知らない。そもそもこういった内容は当局も積極的に資料を公開したりすることがないし、学校でも詳しくは教えてくれない。戦後も60年、日露戦争からだと100年を経ようかという時代なのだから、もうそろそろ洗いざらい資料を公開し、政府自らが真実に迫るべきだと思う。そして今の話題である“靖国問題”や“アジアでの侵略行為”につての総括を行うべきなのだ。ドイツが既に取り組んでいるように・・・・・・。そんなふうに思っている。
戦後61回目の終戦記念日をもう直ぐ迎える。昭和史と戦争、国際関係を考える取り組みをはじめて半年が経過しようとしているが、まだまだ未熟で、良く分からないことが多い。次回は第4巻・『大東亜共栄圏』を取り上げる予定にしている。
【目次】
1 日露戦争
「孤独」から「共同」へ 論説が展望した二十世紀日本 ・・・ 10 / 「日露」前夜 チベット情報戦 ・・・ 19 /
日露戦争 脱亜の果ての分割 ・・・ 29 / 戦艦三笠 東郷元帥との“名コンビ” ・・・ 38 /
勝利の謀略 ・・・ 48 / 「赤い華族」令嬢の夢 ・・・ 56 / 命がけのシルクロード ・・・ 67 /
明治天皇の実像に迫る ドナルド・キーン インタビュー ・・・ 77
2 昭和恐慌
昭和金融恐慌改革 無残な挫折 ・・・ 88 / 昭和恐慌 「突破口」求め「革新」運動 ・・・ 96 /
金解禁 太平洋への引き金 ・・・ 105 / 高橋財政 攻めの政策 ・・・ 113 /
“巨大ビル”東京上空に飛来 ・・・ 124
3 日中戦争
日中戦争 利益線構想が助長した膨張 ・・・ 130 / 満洲事変 軍独走、国際協調を破壊 ・・・ 138 /
石原莞爾 事変の張本人裁かれず ・・・ 152 / 満鉄 西欧の“風”運び近代化 ・・・ 159 /
西安事件 抗日統一戦線に弾み ・・・ 166 / 中国再認識 関係修復に結びつかず ・・・ 170 /
盧溝橋事件 「北京占領」に徹底抗戦 ・・・ 174 / 上海事変 日中戦争全面化へ ・・・ 178 /
張作霖爆殺と河本大作 ・・・ 182 / 齋藤隆夫と反軍演説 ・・・ 190 /
中国共産党スパイ潘漢年 ・・・ 198 / 東亜同文書院生のジレンマ ・・・ 207 /
台湾先住民族・高砂義勇軍の従軍 ・・・ 218 /
草原のスパイ戦 関東軍情報部・ある特務機関員の証言 ・・・ 225
参考文献 ・・・ 234
執筆者・掲載日一覧 ・・・ 236