乱丁・落丁本と書店員の応対は・・・・・・


今年に入って、さる大学出版会から出た専門書を注文購入したが、この本に落丁があった。ある頁の裏側に前の頁が再び印刷されているという、印刷ミスである。従ってある頁が存在しない。この場合も落丁というらしく、版元のHPには本を送り返せば取り替えるというアナウンスがあった。勿論丁重なお詫び付きである。こういう場合版元の重大なミスとしてこの業界では厳に戒めるべきこととされている様だ。
過去に乱丁本の経験は3回あるがいずれも購入した書店で返品、返金してもらった。修正版がきちんと出版されるかどうか分からないからというのが理由であった。何れも名前を言えば分かる一流出版社であるのだが・・・・・・。出版社によっては、本の奥付に『乱丁・落丁本はお取替えいたします』と表記しているぐらいなので、この業界にこういう“しきたり”があるのは知っていた。“お取替え”するには当然ながら修正版を印刷・製本して、送り返すということが前提のはずである。一流出版社ならそうするはずだが、その書店ではそういう返事をした。その書店はというより、その“書店員は“といった方が適正かもしれない。1回目のときはおかしいとは思わなかったが、2回目、3回目では不思議に思い、わざわざ理由をたずねたのである。その返事が前述の通りである。それでは答えになっていないが・・・。この業界でのしきたりは知っているだろうし、その書店の応対方法などは勿論決められているだろうし、即答できるはずだが、その店員さんはわからないという。わからなければ調べろと言おうかとも思ったが、面倒になってやめた。この場合どういう応対をすべきかは押して知るべしなのにね?
1度などは、「乱丁なら頁が乱れているだけで全頁が含まれているから、とりあえず全部読めるでしょ、取り替えなくても・・・」などと言われた。何を言うかと思ったが、すぐさま別の人が来て返品しますとなったので私の方が押さえたが、もう爆発寸前であったのを記憶している。一体何をやっているのかと思う。
誤字・脱字・誤植とともに乱丁・落丁が出版界ではご法度で、出版人の恥であることを最初に知ったのは、岡茂雄・『本屋風情』・中公文庫を読んでから。柳田國男に誤植を責められ、バカにされるという体験を綴った場面など小出版社の悲哀を感じさせる。当然ながら乱丁・落丁本を販売した書店にも非があるはずなのだが・・・。書店員の新人教育や接客マニュアルにおいて、当然こういった事例が教えられていると思うのだが、どうだろうか?
今回の本は落丁という初体験であるが、記念に取っておこうかとも思っている。というより本屋でごたごたするのが面倒なだけであるが・・・。それともやはり購入書店に持ち込んでやり取りしなければいけないだろうか?やれやれ困ったことだ。